先日埼玉県が公式サイトで、食中毒を注意喚起しているというニュースをご紹介しました。
食中毒は夏に細菌が増殖しやすく、冬はウイルスの活動に適していることから発生してしまうのです。
BBQでの楽しい思い出も、食中毒が発生してしまったら辛い思い出となってしまいます。
それだけならまだしも、最悪の場合には『ギランバレー症候群』などの後遺症が残ったり、死に至ることもあるのです。
脅かすわけではないのですが、こういったことも起き得ることは覚えておきましょう。
とは言っても、今回ご紹介する保健所推奨の『食中毒予防三原則』を覚えておき、ちょっとしたことに気をつけるだけで食中毒を防ぐことが出来ますからね。
夏に起きやすい食中毒とは?
先ほどもお伝えしましたが、夏は細菌が増殖しやすいことで食中毒が発生します。
その中でも特に食中毒を発生させている細菌が、『カンピロバクター』です。
カンピロバクターの特徴と原因食品
カンピロバクターは、鶏や牛、豚などの家畜や、犬などのペット類の腸管内に分布しています。
これらの動物の糞に汚染された肉や水を介して食中毒を引き起こします。
- 微好気性(少量の酸素がある状態)という特殊な条件下でしか増殖できず、常温の空気中では徐々に死滅する。
- 熱や乾燥には弱いが低温に強く、10℃以下でも長期間生存する。
- 少量の菌数(100個程度)でも発症する。
- 食中毒発生件数が多く、ノロウイルス食中毒と発生件数のトップを争っている。
原因の多くは生あるいは加熱不足の鶏肉によるものですが、生あるいは加熱不足の牛レバー等が原因となることもあります。
犬や猫などのペットやネズミなどから感染することもあります。
{食品衛生責任者教本より引用}
焼肉屋さんの人気メニューだった『牛の生レバー』も、このカンピロバクターによる食中毒が多発したため、生食での販売が禁止されてしまったんですよね。
塩を入れたごま油につけて食べると美味しかったですよね。残念だけど仕方ないです!
カンピロバクター以外にも、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌などの細菌が原因で、食中毒が発生することもあります。
楽しいBBQにするため、『食中毒予防三原則』は覚えておきましょう!
『食中毒予防三原則』を覚えやすく言うと、
- つけない(清潔)
- 増やさない(迅速又は冷却)
- やっつける(加熱)
この3つです。
清潔(微生物をつけない)
そもそも食中毒となる微生物を、食品につけなければ食中毒は起きません。
BBQの時にやれることと言えば、
- 食品衛生法適合品のゴム手袋を使用し、食品を直接触らない
- 食材が変わるごとに、トングやお箸を清潔にする
- 調理をする人は、なるべくエプロンや帽子を着用する
このようなことですね。
食品衛生法適合品のゴム手袋は薬局にて、100枚入り900円前後で販売されています。
そこまで高価なものではないので、必ず準備しておきましょう。
BBQのマッキー
トングやお箸を清潔にするのは、除菌タオルで拭くか、アルコール除菌スプレーを使うのがオススメです。
迅速又は冷却(微生物を増やさない)
食中毒菌を食品につけないようにいくら努力しても、完全に無菌とすることは非常に困難です。
しかし食中毒菌は、大量に増殖した場合でなければ食中毒の発生は通常起きません。(イレギュラーはあり)
従って、食中毒菌が増殖する時間を与えない【迅速】か、又は増殖できる温度を与えない【冷却】ことによって、食中毒の大半を制圧することが出来ます。
BBQで【迅速】に調理をするには、事前の段取りをしっかりしておくこと、又は肉や野菜のカットや、下茹でなどの下準備を自宅でやっておくことも有効です。
【冷却】に関してはしっかり保冷剤等を準備すること、さらにはしっかりと保冷効果のあるクーラーボックスを使うことです。
加熱(微生物をやっつける)
食中毒菌(ウイルスを含む)は加熱することで、殺菌することが出来ます。
しかし加熱する条件等が食品によって異なるので、食品衛生責任者教本にまとめられている下記の表を参考にして下さい。
微生物 | 付着している食品 | 殺菌に必要な温度等の条件(食品の中心部) |
腸管出血性大腸菌 | 牛肉、レバー等 | 75℃で1分以上 |
カンピロバクター | 鶏肉等 | 60℃で1分以上 |
サルモネラ | 食肉全般、卵など | 70℃で1分以上 |
腸炎ビブリオ | 魚介類 | 65℃で4,5分以上 |
ノロウイルス | カキ等の二枚貝など | 85〜90℃で1分半以上 |
『食中毒予防三原則』とウイルス
ウイルスは食品中では増殖せず、人体に入り込んだ後に増殖して食中毒を起こします。
取り込まれるウイルスが極微量であっても体内で増えて食中毒を起こす場合があり、食品にウイルスが着いていると、それを増やさない努力をしても食中毒を防ぐことは困難です。
ウイルスによる食中毒を防ぐには、【迅速】又は【冷却】の原則は有効ではなく、清潔、加熱の二つの原則を徹底することが重要となります。
{食品衛生責任者教本より引用}
つまり冬に発生しやすいノロウイルスによる食中毒に対しては、十分に加熱(85℃〜90℃で1分半以上)をして食べましょう。
まとめ
食中毒菌が食品中で増殖しても、その食品の味・香りや外観が変化しないため、食中毒を完全に防止することはとても困難です。
その為にも食中毒予防法の決め手は、『食中毒予防三原則』を守ることなのです。
BBQを楽しい思い出にするためにも、食中毒には十分気をつけましょうね!